tomorrow-for-danpei2

私が小学生の時分、バス釣りブームがあった。
私も例外なく引っかかった口であるが、なにせ金もない足もない知識もない小学生、終ぞ一匹も釣れることはなかった。
今と違ってネットもない。情報源は、雑誌やテレビの釣り番組。
アホなものだから、立杭があればバスが居ると思い込むくらいにアホだった。

中学くらいで釣りはたまにやるくらいになって、高校のときには全然やらなくなっていた。
で、二十代の半ばくらいになってから、シーバスを始めて釣りに復帰した。
久しぶりに釣りを始めたら、なんかPEとか色々知らないラインや道具が出ててビビった。
だって俺、当時ナイロン3号とかでバス釣ろうとしてたもん!

現在、バス釣りは結構苦境に立たされている。
外来魚=悪者バス=外来魚の親玉という図式が世間一般の認識として広まってしまったからだ。
個人的にはバスよりもギルの方が質が悪いし、もっと質が悪いのは鯉だと思うんですが、釣りをしない人たちは鯉は日本の川の象徴くらいに思っていて、特に槍玉にあげられることはない。ギルに至っては認知もされていない。

結構前からそんな風潮で、恐らく釣り業界も危機感は抱いていたことだろう。
ただ、その危機感というのは外来魚による固有種への影響とかそういった環境的なことでなく、「バス釣りが廃れることによって、大きなパイを一つ失う」ということに対する危機感だったのでは、と思う。そのくらい、バス釣りの市場は大きかった。

そして、釣り業界が目をつけたのがシーバスだったんじゃないだろうか?
というか、シーバスって商売目線で見ると異常に優れてると思うんですよね。

・日本全国、割とどこでもいる→敷居の低さに繋がって、人口を増やしやすい
・整備された河川、海など、釣りをし易い環境でも釣れる→同上
・一年中釣れる→「いつでもできる」というのは強みです
・在来種→外来種と違って悪者にされて駆除とかされない
・アベレージサイズがまあまあ大きい→釣って楽しい
・都市湾港、川、サーフ、磯、ボート…とアプローチの幅が広い→専用タックルが売れる
・チープなタックルでもそこそこやれる→いきなり竿やリールに10万出せる初心者は少ない
・食える→釣ったあとの発展性は、ないよりあった方がいい

バスは東京だとほぼ絶望的ですからね。
シーバスは海の魚でありながら、遡上をするので海なし県ですら可能性がある(途中に魚止めとなる堰がない前提とはなりますが)
恐らく、シーバスアングラーの大半は湾港や都市型河川などの、気軽にフラッと行けるフィールドをメインにやっているでしょう。
それこそ、出勤前や定時後に気軽に行けるくらいの環境。社会人にしてみると、定時後に短時間楽しめる、というのは結構魅力的なファクターなんですよね。
何日も前から船の予約を入れてまだ夜も明けぬ内から乗船するとか、登山なのか釣りなのか分からなくなるような渓流釣りだとか、そういったものと比べてシーバスは圧倒的に敷居が低い。
鮎や磯のように、初期投資がベラボウに高いわけでもない。

そして、この釣り業界の目論見は大成功したと言っていいでしょう。
何気にバスが結構根強くて、シェアではまだシーバスは劣っているのかも知れませんが、不動のNo.2の地位にあると言っていいと思います。

ところが今現在、そのシーバスにも陰りが見え始めてきている段階にある、とも感じます。
理由の一つとして、これはバスも辿った道でもあるんですが、人口の増加に伴うマナーの悪い釣り人の増加。

ゴミを捨てる、夜中に騒ぐ、立入禁止の場所で釣る、路上駐車、人にフックを引っ掛ける…
釣り禁止、ルアー禁止の場所、増えましたよね。
SOLAS条約の影響も大きいと思いますが、釣り人の要因も決して小さくないと思います。
隅田川、京浜運河の一部が今年釣り禁止になりました。両方共、何度か行ったことがあります。
落水事故で死者が出るなどして閉鎖された釣り場もあります。

他には、釣り人が増えたことによるスレの加速もあると思います。
始めたばかりの頃の方が、もうちょっとイージーに釣れたような気がしています。
そもそもの魚の数が減っているのかもしれません。

あと、地味大きいのは技術革新が頭打ちになりつつある、ということだと思います。
最近発売されるルアー、よくよく見てみると結局は既存のルアーの焼き直しなんですよね。
新作ルアーに、従来品との比較で購買意欲を喚起できない。となると、買うのは実績のある定番ルアーになってしまうわけですが、メーカーとしては新作を出さないわけにも行かないんでしょうね。取り敢えず新作を出すわけですが、大体のルアーが「んー、ならアレでもいいじゃん」と自分の中で信頼が確立されているのを使ってしまう。ということは、新作ルアーは売れない。
最近の新作ルアー、気がつくと消えているのが結構多いですし、そもそも売り場もそんなに大きく取ってもらえない。
だけど、レンジバイブやローリングベイトは死ぬほど置いてある。

シーバスももうピークは過ぎたのでは? と感じている次第です。

今、業界が目をつけているのはフラットフィッシュでしょうね。
フラットもなかなか釣り目としては優れています。川では釣れないのが、シーバスよりも劣りますかね。でも、割と広範囲のフィールドで釣ることが可能な魚です。
ある程度はシーバスタックルからの流用ができるところもポイントですね。要するに、シーバスのパイをそのままフラットに取り込もう、という魂胆でしょう。
これも、今のところはそこそこ上手く行ってるんじゃないでしょうかね。
ただ、数年後にどうなっているか、それは誰にも分かりません。

今後、釣具メーカーもただ釣具を売るだけでは駄目なんでしょう。
売るためには、ユーザーを育てなければならないと思います。

既に減りつつあるフィールドを、これ以上減らさないために。

既に減りつつある魚を、これ以上減らさないために。


マナー面で、安全意識の面で、資源保護の意識の面で。

そうしないと、「釣り」という娯楽の明日は、それほど明るくないのかも知れない…?